2月24日〜3月2日
朝6時はもう明るかった。宿の朝食は7時からだと言われたので仕方なく何も食べずに出発した。同じ宿に泊まっていたさおりちゃんも一緒だ。(ちなみにさおりちゃんとはグアテマラで初めて出会って、あきちゃんは一緒に山に登っている。)
私たちが乗ったティカバスは、7時少し過ぎてから出発した。バスが動き出してしばらくすると、係りの兄ちゃんがパスポートとお金を集め始めた。さおりちゃんは係りの人に自分で手続きに行くと言ったらしい。私たちも前回は手数料を取られていやな思いをしたので、自分たちで行くことにした。
9時半頃だっただろうか?国境に着いたと思ったら、その入り口のところで私たち3人だけ降ろされて、ティカバスは行ってしまった。しかもなぜかそこに窓口があって、1ドル払えと言う。訳が分からないのでバックレた。他の乗客は払ってないのに、私たちだけ払わなきゃいけないなんて絶対におかしい。レシートは?と言ってくるやつもいたが、きちんとチェックもしやしない。パスポートを見せるだけでOKだった。
イミグレまで少し距離があったので、走っていった。まったくなんであんなところで降ろされたんだろう。いやがらせとしか思えない。出国に必要なお金は2ドルだった。コロドバ払いできないのにはちょっとびっくりした。
あせって行ったけど、結局ティカバスの兄ちゃんより全然早く手続きは終った。そして再びバスに乗り、コスタリカへ。今度は個人で手続きをするらしい。並び始めたのが10時半頃で、1時間半は待った。とにかく時間がかかる。金が要らないのはいいけど、時間がかかりすぎ。
やっとスタンプをもらったら、今度は荷物検査。でもバックパックを台に乗せただけで、まったくチェックされなかった。全然意味ねー。
やれやれ、やっと終った。正確には覚えてないけど、2時ごろまでかかったと思う。結局サンホセに着いたのは夜の6時。私たちはすぐ近くに宿を見つけ、さおりちゃんは夜10時のバスでパナマへと向かった。(映子)
今日は午前中、ダラダラしていたけど、午後は博物館へ行った。コスタリカのことが少し分かった気がした。この国は白人が多い。純粋にそうではなくても白人っぽい人が多い。歴史を見ていても、ヨーロッパの国みたいに発展してきているし、ここは今でもスペインの植民地と呼べるんじゃないか。そんな気すらした。
中米の先住民史を研究しているタスクさんは、言っていた。コスタリカとニカラグアは仲が悪い、と。常に対抗意識を燃やしているとか。おもしろかったのは、ガジョビントという赤飯みたいな豆ご飯の料理があるんだけど、片方が大きな鍋にガジョピントを作ってギネスブックに載ったら、もう片方の国ではもっと大きなのを作って記録をぬりかえたという話。お互いにガジョピントは自分の国の料理だと主張しているらしい。私たちから見ると、中米の料理でいいんじゃない?似てるんだし。と思うんだけど、コスタリカ人はそれを自分たちのものと思いたいらしい。そして、自分たちが白人に近いということを誇りに思っているみたい。コスタリカ人って何だろう?(映子)
ガジョピントなんてたかが赤飯だよ?そんなんにそれほどの情熱とプライドをかけるニカラグア人もコスタリカ人も僕らから見ればとてもおかしな人たちに思える。(昭浩)
キャノピーツアーは、中米のなかで一番のオススメである。30ドルと少し高めではあるが、コスタリカに来たのならぜひぜひやってみてほしい。
キャノピーツアーとは、滑車にぶら下がって木から木へとすべり落ちるアトラクションのことだ。もともと熱帯雲霧林(ジャングルのこと)の動植物を観察する研究者たちが移動手段としていたもの。
霧雨のなか、全身カッパというイデタチでまずは車で山の奥のほうに出発。鬱蒼と茂るジャングルのなかにある一本の高い木にとりつけられたハシゴに登る。登ったところには太いワイヤーが張られていた。ワイヤーは15mくらいで森の中へと消えていて、その先は見えない。ガイドが滑車をワイヤーにとりつけて、ぴょんと滑車と自分を結ぶロープに体重をあずける。そうするとスルスルと滑車はすべりはじめる。はじめゆっくりだったのが徐々にスピードをましていく。木と木の間を飛んでいるようだ。ムササビやモモンガの視点というのはこういうものなんだろう。
けっこう長い時間滑った後、2番目の木の上に到着。そこから次のワイヤーが伸びている。30mくらい先まで見えるがその向こうは霧のなかだ。ぴょん、スルスル、イキオイよくすべる。今度は木と木の間というよりは、木の上を飛んでいた。ジャングルの木というものは何十メートルもの高さがあるので、なかなかの高度感を感じる。この高さ、このスリル、これはただのお遊びアトラクションではない。ちょっとクレイジーだ。
だんだん高度感を増していったキャノピーツアー。木の間という生ぬるいものはどちらかというと少なく、森の上、それも「ホンマかいな?」と思えるほど高い。その恐怖感が異常な興奮を誘う。
うぉぉぉぉ!
いつもおとなしい僕があまりの興奮に叫んでしまう。
一番長いワイヤーは1キロくらいあった。それは、木から木へというものとはまったく次元がちがっていて、1つの山から1つの山へとつなぐものだった。山の間は谷間になっており、かなり下のほうにジャングルが茂っている。高所恐怖症のヒトがそれを見たら一発で泡を吹きそうな高さだ。
ここも他と同様先が見えない。あまり長いので、いつまで続くのだろう?と途中不安になる。あれっまだ着かないの?そんなことを何度も思っているうちに滑車はイキオイをなくして途中で止まってしまった。しかもちょうど霧の濃いところでとまってしまったので、前も後ろも20mくらい先は霧で見えない。滑っているときはまだいいが、自分の体重を支えているのはロープだけ。ワイヤーの下でぷらんぷらんぶら下がっているのはとても怖い。
しばらくすると救助のヒトがやってきて僕をワイヤーの到着地点である木の上まで運んでくれた。
14本のワイヤーによるコースというのはとても少ないなあとはじめ思っていたが、一本一本がかなり長いので、実際やってみると最後のほうはかなりヘトヘトになる。滑車にぶら下がる時、足をあげるので足が疲れる。もちろん腕もぶら下がったり、手袋をはめた手でブレーキをかけたりするので、後半はパンパンにはってくる。映子にいたっては、「もうええわ。はやく終わりにしたい。」とかなり弱っている模様だった。
滑車ですべるだけで30ドル。それは長く旅をする人が多い中南米のバックパッカーにとっては断腸の決断をせまられる金額だ。だからこそ僕はあえてこのキャノピーツアーをオススメしたい。
「中米一のおもしろポイントはどこだ?」と尋ねられたらコスタリカ、モンテベルデのキャノピーツアーと答えたい。ただし、高所恐怖症のヒトにはオススメしない。(昭浩)
今日も天気は変わらなかった。雨が降っていたので朝からモンテベルデに行くのはやめた。あきちゃんは、朝早くから起きて仕事(HPの作成のこと)をしていたけれど、私は8時くらいまで寝ていた。昨日の疲れのせいもあって、起きれなかった。
午前中はゆっくりして、午後から出かけた。お昼1時のバスでゴトゴト揺られながら、モンテベルデへ向かった。天気は相変わらずだけど、時々晴れて明るい。私たちは2時間コースを歩いた。昨日のスカイウォーク(森の中のつり橋をいくつも渡っていく散歩コース)と同じと言えば同じ。でもそんなにブルーじゃなかった。時々光も差し込んできたし、森の中を歩くのは楽しかった。
それにしても何もいないなあ。時々鳥の声は聞こえたけれど姿は見えない。半分くらい歩いたところでハチドリを見つけた。小さくてかわいい。首のところが紫色だった。ハチドリは今までに何羽か見たけれど、同じのは見たことがない。それからお腹がオレンジ色の鳥や小鳥を見た。
雨は本当によく降っている。展望台みたいなところに行っても、まっ白で何も見えず、風雨にさらされるのみ。森の中を歩いている時は平和だ。雨はしとしと降り、たまにザーッとくるけれど、森が守ってくれてる感じ。見れなかったけどケツァールもきっとこの中にいるんだな。鳥の声は時々聞こえた。この森の中には、他の動物は住んでいなくて、鳥だけが住んでいるのかな。ここは鳥の楽園に違いない。
そのわりには鳥は隠れていたのであんまり見れなったけど、森の中にいた2時間はあっという間で楽しかった。(映子)
「オレは今とても感動している。」
一本のゴク普通の橋の上にいた僕の口からもれた言葉だ。橋の下にワニがたくさんいるのだ。
僕たちはカラーラ国立公園にいくため、その近くに宿をとった。ココドゥリロ、すなわちワニという名前の宿だ。宿の近くにワニがいるらしい。半信半疑でそれを見に行った。
冗談かと思うくらいたくさんのワニが橋の下にいる。数えただけで25匹。橋の逆側もあわせたら30匹以上はいる。しかも細くて小さい奴じゃなくてホラー映画にでてきそうなくらい大きいのもいる。体長3m以上はあると思われる。川の中に身を沈めている奴、しっぽをくねくねさせて竜のように泳いでいる奴、河原で日向ぼっこしている奴、いろいろだ。ときたまあばれたり、大きなあくびをしたり、四肢でのそのそと歩き出したり、見ていてあきない。
僕はアフリカで何度か野生のワニを見たことがあるが、ここまではっきりとしかも大量にワニの姿を見たのははじめてだ。それまで見たワニは小さく、水のなかに体を沈め、目と鼻と背中だけが出ているといったもので、ゴムでできたおもちゃとちゃうのん?といった類のものが多かったが今回は違った。
昼間ワニを見て、夕方ごろもう一度ワニを見に行った。そこにはコスタリカ人のおっさんがいて、なにやらやっている。ヒモに肉の塊をくくりつけて橋から川に下ろしていた。 ワニは肉にめがけて集まってくる。近づいたワニの目の前で肉をぷらんぷらん揺らせながら漂わせ、いざワニが肉にかぶりつこうとするとヒモをひっぱってしまう。ワニは大きな口をあけて必死にジャンプして喰らいつこうとするが空振りに終る。そんなオマヌケなワニがおもしろくてつい笑ってしまう。だけど、これじゃ半餌付け状態じゃないの。だからワニが橋の下にうじゃうじゃいるのか、納得。
しかし、待てよ、こんなことしていいのか?一応ワニたちは野生のワニだ。野生のワニに遊び半分でエサを与えて、環境保護・自然保護・動物保護を対外的にアピールしているコスタリカが聞いてあきれる。ワニは見ごたえあったけどね。(昭浩)
朝を失う者は、その日一日を失う・・・(スペインのことわざより)
その言葉が最近脅迫概念となっている。鳥を見るなら朝しかない。モンテベルデでケツァールと遭遇できなかったのは朝出発しなかったからだと思っている。だから、今日は朝5時半に起きた。しかし、目覚ましがしばらくなり続けているというのに隣の映子はまだ眠っている。どういうつもりなんだ?やる気あんのかコンニャロ。
僕たちは真っ赤な体のコンゴウインコを求めてカラーラ国立公園にやってきた。ホンジュラスのコパン遺跡には飼われたコンゴウインコはたくさんいたが、野性のコンゴウインコがどうしてもみたかったのだ。あんな派手な色でぬいぐるみのような形をしたインコが自然のなかで生きているというのが想像できなかったので、実際この目で確かめてみたかったのだ。
宿から公園入口に歩いて向かう途中トゥカン発見。トゥカンというのは日本名・オオハシといって黒い体に大きな黄色のクチバシとこいつもけっこう派手だ。野生のコンゴウインコとトゥカンを見るというのがコスタリカでの目標だったのでとてもうれしい遭遇だった。
公園にはいってしばらく歩くとギャーギャーという鳴き声がする。こいつはちがいねぇコンゴウインコだ。ガイドブックにもギャーギャーとうるさく鳴くと書いてあった。あんなに派手な色して、ギャーギャーうるさく鳴くなんて、コンゴウインコって奴はかなり自分の存在をアピールしたい鳥らしい。スター・にしきのあきらのような鳥だな。見つける側としてはとても都合がいい。
コンゴウインコは簡単に見つかった。木の枝に2羽、真っ赤だった。他の場所でも3羽と遭遇。あいつらはあまり飛ばない。木の穴に巣があるらしくそのまわりの枝から枝へ、ギャーギャー言いながらと跳び移っている。これがやつらの本当の姿か。カゴのなかの鳥じゃなかったんだ。さらに公園の奥のほうまで進み、それから戻って来たときには、すでにコンゴウインコの姿はなかった。あれほど派手に動いていたのに・・・
そのとき日はすっかり昇り、セミがしみしみとうるさく鳴き始め、空気に緊張のあった朝の森はすっかり失われていた。
午後マヌエル・アントニオ国立公園に移動した。
ここは宿代が高くてイヤになる。一泊2人で20ドル(2200円)、これがここの最安の宿、僕らの予算の倍だ。サンホセの宿代の倍以上だ。しかも部屋はボロイ。こんなところに長居していられないので、1泊だけして明朝マヌエル・アントニオ国立公園を見学、そして次の場所へと動くことにした。
ヒマなので散歩がてら国立公園の入口に明日の開園時間をチェックしにいった。そこでハプニング。ハチに耳を刺されてしまった。しかもかなりでかいハチだ。
頭の中で「スズメバチ→猛毒→刺されたら死ぬ」そんなことが浮かんだ。
そしてパニックに陥る。
「吸って!吸って!」
僕が叫んだ。
「えっ、なっ何を?」
映子もあわてている。
「ハチに刺されたから耳から毒を吸って!」
映子はワナワナとただあわてている。
「どう吸えばいいの?」
「とにかく吸って!」
パクッ
映子は僕の耳をくわえた。そして僕がまた叫ぶ。
「吐いて!吐いて!」
「何を?」
「吸った毒を吐いて!」
ペッペッ
映子はワケもわからずつばを吐いていた。
まったくその行為に効果を感じなかった僕は、海に向かって走った。塩水につければちょっとはいいんじゃないかと思ったのだ。
海でしばらく波にもまれているうちにだいぶ冷静さを取り戻した。冷静になると先ほどの行動のなかで疑問点が浮かんできた。
(映子は、果たして毒を吸っていたのだろうか?オレの耳をくわえていただけなのではないか。)
僕は映子に尋ねた。
「本当に毒吸ったん?」
「・・・」
「それでその後ペッペッと何を吐いてたんよ?」
「・・・」
とにかく、耳ははれたままだが、このハチで死に至ることはなさそうだ。
それにしてもあの時のふたりのあわてようは何だったのだろう。思い出すとおかしくてしかたがない。(昭浩)
国立公園に入ったのは、私たちが1番乗りだった。しかしその後、次々と入ってきた人たちに、どんどん抜かされていった。時々海が見えて、波の音が聞こえる。そんな遊歩道を歩いていった。
少し森の中に入って、アップダウンのあるコースを歩いていると、前を歩いていたカップルが、立ち止まって上を見ている。何?何?と思ってよーく見ると、ナマケモノだ!
意外と簡単にナマケモノが見れて、もう目的を達成してしまったし、暑さにやられてダウン気味の私だったが、それとは対照的にあきちゃんは超やる気になってしまった。ナマケモノを探すために、ビーチまで行く2つのコースを両方行くと言ってきかない。もっと近くでナマケモノを見たいから探すと言っていたが、そのコースには何もいなかった。
私はハチドリを見た。目の前に来てバタバタ飛んでいた。
もういい加減疲れたし帰ろうよ。という段階に来てやっと、ナマケモノがうようよいるところに来た。高い木の上なので、ちょっと遠いけど、動いているところ、葉っぱを食べているところが見れた。しばらくそこで見ていた後、再び歩き始めると、今度はサルがいた。顔が白いサルと、リスみたいに小さなサル。
そういえば、今日は大きなリスを何度も見たな。尻尾がブタのようにちょこっとしかない奴。ちっちゃいリスは、黒っぽかった。ハナグマも見た。その後、急いで早足で帰ったけど、もう朝食の時間には間に合わなかった。
急いでチェックアウトしてケポスへ向かった。マヌエルアントニオは、宿も食べ物も何もかも高いし、国立公園を見たらやることもないので、今日ウヴィータへ向かうことにしたのだ。ウヴィータには、庭にコンゴウインコが現れるというあるゲストハウスがある。そこに泊まろうと思ったのだ。
しかし、ケポスからウヴィータ行きのバスは夜7時しかないと言う。絶望しかけたところで、サンイシドロ行きのバスで、ドミニカルというところまで行って乗り換えるという手があるらしい。
1時半のバスに乗って、3時ごろドミニカルに着く。サーファーが多い町だった。そこで、5時半のバスを待つ。フランス人のセバスチャンとドイツ人の歯医者さんも一緒に待っていたので、少し話した。セバスチャンは誰にでもすぐ話しかけて、友達になってしまう。不思議な人だ。他にフランス人の女の子2人も一緒にバスに乗った。
ところが、彼女たちがウヴィータ・プラヤまで行くといったため、私たちはウヴィータの街で降り損ねて、プラヤまで行ってしまった。運転手も、私たちが一緒に乗ったから、同じグループと思ったらしい。おかげで、訳の分からないところで降りて、一晩泊まることになってしまった。あーあ。大失敗。おまけにめちゃくちゃ暑い。
辺りはもう真っ暗で、宿の近くの牧場らしきところに、蛍がたくさん飛んでいたので、少しだけ心が和んだ。そして私たちは、冷静に考えた。これからどうしよう?明日のバスで戻って、ウヴィータの街に行くよりも、先に進んだ方がいいんじゃないだろうか?パナマへ行こう、明日。2人でそう決心した。(映子)
旅のなかで行き先を決めるとき、僕らはたいてい目的や目標を決める。もし僕らの旅にポリシーというものがあるとすれば、それは目標をもって旅をするということになると思う。
マヌエル・アントニオ国立に来た目的はズバリ、ナマケモノ。野生のナマケモノをこの目で見てみたいと思ってやってきた。ナマケモノってそのネーミングからしてとても興味惹かれる。ナマケモノってスペイン語では「オソ・ペルソーソ」という。ナマケ熊というのだ。日本人からも中南米とスペインの人々からナマケていると思われている動物がどういうものか興味を持つのは当然だろう。僕だけじゃなくほとんどの旅行者がナマケモノを見にこの国立公園を訪れてもよさそうなものなのに、実際はそれほどでもないというのはたいへん意外に思える。
「ナマケモノなんかみて楽しいの?」
映子がなぜそんなにナマケモノに対して醒めているのか不思議でしかたない。身内ということもあって腹立たしくすら感じる。
ともかく僕らはマヌエル・アントニオ国立公園にナマケモノを探しに行ったのだ。
ナマケモノはいた。たくさんいた。木の上にぶらさがって、木の葉っぱを食べている、もしくは寝ていて動かない。やっぱりナマケモノだ。全身毛ダラケで顔は黒くブタ鼻の人間のような目鼻立ちをしている。ブサイクだけど可愛げのある奴だ。
ゲートを出る時、映子がずっと見たがっていたサファイアブルーの羽を持つモルファ蝶がたまたま目の前に現れた。そんな幸運もあってとても素晴らしいマヌエル・アントニオであった。とにかく僕はとても満足だ。何もコスタリカに思い残すことはない。次は中米最後の国パナマだ。(昭浩)